第13章 魔王様・・・!
「危ない!」
声が響いた。
落ちると思っていたのに、感じたのは地面に叩きつけられるような痛みではなく、包まれるような感覚。
「秘書さん!」
「様、お怪我はございませんか?まさか、塔の窓から脱出したのですか!?」
「怪我はないです。あの、魔王様は?」
「それは・・・言うなと言われておりますので」
「いいです!教えてください、お願いします!そうじゃなきゃ私、一生後悔するんです。」
秘書は困ったように眉を寄せ数秒後、決意を決めたように言った。
「魔王様は一階のホールで勇者と戦っています。お一人で。」
「一人で?無茶よ!勇者は普段から訓練を積んで、沢山の敵を倒しているのよ?」
「他の者は傷つけさせない、と。もちろん、様も。
魔王様は、様が勇者と戦おうとしているけれど危険な目に合わせたくないから塔に閉じ込めました。」
「そんな、私、平気なのに。」
(危険な目に合うより、魔王様といられない方がずっと嫌。)
「魔王様よりお手紙を預かっております。戦いが終わったら渡してくれ、と。読んでください。」
「わかった、ありがとう。私、行くわ。魔王様をきっと助けるから!」
秘書は、その答えがわかっていたかのようだった。
「お気をつけて」
そう言って、恭しくお辞儀をした。