第12章 異変
あれから1週間ほど経った。
部屋で話す回数が増えたとか、魔王が仕事の隙間時間に会いに来てくれるとか、それくらいしか変わったことはない。
でも、は嬉しかった。
誰かの特別な存在になれたのも、その相手が魔王なのも。
そんなある日のことだった。
なんだか館の中が騒がしい。
それに、待っていてもアンナが来ない。
少しの間なので遅刻ということもあるだろう。
でも、アンナは遅刻なんてしない。
不思議に思ったが早めに支度をして部屋を出ると、アンナが慌てて駆け寄って来た。
「様!申し訳ございません。」
「大丈夫。それより、なんの騒ぎ?」
「いえ・・・それより!今日はお部屋で朝食を召し上がってくださいとの事です。」
「え?部屋で?いいけど。どうして?」
「その・・・食堂が工事中なんです!魔王様も今日は忙しいですし。なので、部屋で食べましょう。料理の質は変わりませんから。」
(食堂の工事?そんなの、聞いてないけど。)
「魔王様、お忙しいのね。それじゃあ仕方ないし、お部屋で食べましょうか。」
アンナを困らせたくはなかったので、とりあえず朝食は部屋で食べることにした。
用事ができたと言い、朝食を置くとアンナも忙しそうに部屋をバタバタと出て行ってしまった。