第11章 好きです
この館に来てなんだかんだ3週間くらい経った。
キスされてからは2、3日ほどだ。
魔王と話し合いたい。
めちゃめちゃ話したい。
でも気まず過ぎて話せない。
その繰り返しでぐるぐると悩んでいる。
(この乙女心をわかれ!恋人でもないのにキスとかする!?しかも一国の姫に!!)
しかも困ったことにそれを大して嫌だと思っていなかった。
(きっと、私魔王様のこと・・・)
なにか良い案はないものか。
最初の時のようにピクニックに誘うとか?
いや、それじゃ真意は聞き出せない。
「あ、閃いた。ちょっと危ういけど、魔王様なら言いふらす事もしないだろうし。よし!行ってこよう。」
今は午後9時ごろ。
少しドキドキしながら廊下を歩く。
この時間ならきっと魔王は部屋にいるだろう。
コンコン
「はーい」
間延びした返事が廊下に響く。
「あの、です。」
「・・・どうぞ」
ガチャリ、とドアを開けた。
「どうした?また何かあったんか?」
そう言いつつも魔王は目を合わせてくれない。
私にキスした事、後悔してる?
それとも、気まずいから?
悪いことしたって思ってるから?
なんで目を合わせないかはわからない。
後悔してるとしたらーーそう思うと怖いけど、大丈夫。
どこから湧いてくるのかわからない謎の自身。
もしくは魔王はどうでも良い人にキスなんかしないという、魔王への信頼なのだろうか。
は魔王へと歩み寄った。