第11章 好きです
次の瞬間、目を閉じたと反対に、魔王は目を見開いた。
触れ合った唇が離れる。
「お前・・今、何して・・・っ!」
みるみる赤くなる魔王。
それを見ていると、自分が大それた事をした実感が湧いて恥ずかしくなってくる。
「魔王様だって、したじゃないですか。」
「っ、それは・・・」
「魔王様にとってキスなんて他愛もない事なのかもしれないって思ったんですけど、違うんですか?」
数秒後、怒っているような、複雑そうな魔王の声が聞こえて来た。
「んなわけないだろ・・・俺は、お前だから!!」
「魔王様、私のこと好きなんですか?」
「!!」
耳まで赤くなる。
図星だと思ってもいいかな?
「試すような事してごめんなさい。私も、魔王様じゃなきゃこんな事しません。でも、魔王様があまりに普通だったから不安になっちゃって。」
「全く、ドキドキさせんな・・・」
魔王の呟きは段々小さい声になって聞こえないほどだったが、の耳にはちゃんと届いた。
「好きです、魔王様。」
「知ってる。多分お前が気づくより先に知ってた。」
「えぇ!?私、この感情が何か結構悩んだんですよ!?」
「は?お前、まさか初こ・・・」
「姫ですからね!?周りに異性なんて貴族の息子とかしかいないですから!!」
「そっか、確かに・・・。」
その後魔王が「ありがと、俺も」と顔を逸らして小さく呟いたのが聞こえたか聞こえなかったかはわからない。
でも、は満面の笑みで笑っていた。