第11章 好きです
色々頭が追いつかないながらも服を着替えるために自室へ戻る。
「まぁ、様!何があったんですか?あ、お着替えをしないと。」
「あ、アンナ。心配かけてごめんなさい。勝手にいなくなったりして・・・。」
「いえ、それはまぁそうなのですが・・・。」
(あ、まさか、魔王様の部屋にいたのもう知ってる感じ?良く考えればそうだよね。普通は私付きのアンナに報告するよね。)
「えっと、私がどこに居たかもしかして知ってた?」
「わ、すみません!!いえ、あの詮索するつもりではないんです。ただ、様は一国の姫ですし、大丈夫なのかな、と。」
「ちがう!変なことは一切してないから!」
一切、と言い切っていいものか。
さっきキスされたのは夢じゃないよね。
一切されてないってわけでもないような・・・。
「様、何かありましたか?」
「いえ、なんでもないの。さ、食堂へ行きましょう。お腹空いちゃった。」
食堂へ行く間、別に変な目で見られることはなかった。
噂で広まっているわけではなさそうで安心した。
食堂に入ると魔王はもう既に席についていた。
「おーし、じゃあ皆揃ったし、食うか。」
彼は気にしていないのだろうか、自分のした事を。
魔王にとってキスの一つや二つ、なんて事無いんだろうか。
問い詰めたい。すほく問い詰めたい。
でも問い詰めて「は?キスくらいで文句言ってんじゃねー」とか言われても恥ずかしい!!
混乱する頭でも、時間は進んでいった。