第10章 魔王の過去と使命
トントン、ガチャッ
ドアが開いて、メイドが顔を出す。
「魔王様、どうなさいまし・・失礼いたしましたっ!!」
頬に手を当て、近い距離で見つめ合う2人を誤解したのだろう。
いや、朝からパジャマで異性の部屋にいるのが問題か。
あ、泊まることになるとは思ってなかったから置き手紙とかしてないし、今頃アンナが慌ててるかも。
というか、それ以前に今までは必死で気づかなかったけど、魔王様の部屋に泊まっちゃったわけで・・・
至近距離にいるのが恥ずかしくなってパッと手を離し、目線を逸らした。
「ふっ、あはははははっ」
「ちょっと!なんですか魔王様。笑わないでくださいよ!今完璧に誤解されましたから!」
「あははっ、わりーわりー。なぁ、拗ねんなって。こっち向けよ。」
「もー、魔王様ってば、」
言おうとしてた言葉の続きを魔王様によって遮られた。
ちゅっ、という軽い音と共に唇が離れる。
「あ、もう8時過ぎてんだな!俺もう腹減った〜。早く飯行こうぜ!」
そう言って魔王様は洗面所へと歩いて行った。
いや、それどころじゃない。お腹が空いたとか、どうでもいい。
今、キスされたよね!?