第10章 魔王の過去と使命
「だから、もうすぐ死ぬっていうのはもうすぐ勇者が攻めてきて俺は倒されるってこと。
勿論戦うけど、きっと死ぬ。今までに死ななかった悪魔はいないんだ。勇者は沢山の敵を倒して訓練していて本当に強いから。
死ぬために生まれてきたってのも間違っちゃいない。俺はをさらって、勇者に殺される。
まさに“死ぬために生きてきた”ようなもんだ。」
「そんなこと・・ないですっ!」
「?いいよ、慰めてくれなくって。」
「安易な慰めだと思ってくれても構いません。でも、聞いてください。」
は魔王の頬に手を当て、目を合わせて話した。
いつも母様が真面目な話をするときににする事。
が真剣に言ってるって、こうすれば少しは伝わる気がした。
「勇者は私が説得します。“姫をさらい、勇者と戦う”事でこの世界の破滅は防げるんですよね?
でも、それって“勇者に倒される”って事じゃないじゃないですか。だから、私がなんとか話をつけます。
それで、良いですか?」
「でも・・」
の安全を考慮してか、未だに渋っている魔王にゆっくりと言った。
「倒されるなんて、死ぬなんて言わないでください。生きてください。お願いですから。」
魔王は、フッと笑った。
「本当、逞しいお姫様だ。」