第5章 兄妹のような
夜7時。コンコン、と扉をノックする。
この部屋に立ち入ったことはない。
入れ、と短い返事が帰ってきた。
失礼します、ですと言って中に入る。
魔王が一瞬目を見開いた。
「なんだ、メイドかと思ったらお前か。何の用だ、こんな時間に。」
「魔王様、沢山の物を届けてくださって、ありがとうございました。」
「いや、構わない。」
どうしたんだ、と急かすような視線に促されて本題に入った。
「魔王様、一緒に遊びませんか?」
「は?その、手に持っているのはトランプか。まあ良いだろう。」
「わあ、ありがとうございます、魔王様っ!」
「こう見えて俺は強い。トランプの神に好かれているのではと思う程だ。」
「そうなんですね。トランプの神ってなんでしょう?ま、いっか!」
「いいのか。」
「はい!えっと、ババ抜きでいいですか?」
「2人でババ抜き?楽しいのか、それは・・・」
「いや、わかんないですけど。」
「まぁ、いいか。よし、やるぞ。」
なんだかんだ言って付き合ってくれる魔王は優しいと、は思うんだけど・・。