第5章 兄妹のような
「うぅ、また負けたぁ。」
「だから言っただろ、俺はトランプの神だって。」
「魔王なのに神とか。矛盾してるぅぅ」
「魔王≠神じゃないから、矛盾はしていない!」
「ちょっとくらい手加減してくれても・・・。大人気ない。」
「なっ!大人気ないって。手加減しないと勝てないのか?」
「そんな事ないもん!もう一回!」
「ほらほら、もう寝る時間だぞ。いい子は寝ろ。てか、すごい眠そうじゃねぇか。」
「眠く・・ないです。」
「は?眠そうだろ。うわ、寝るな寝るな。眠いならもう部屋に帰れ。」
「大丈夫、ここじゃ寝ないから。男の人の部屋で寝ちゃダメってお母様が言ってたもの。」
「そういやお前姫だったな。俺はお前みたいなガキには手出さねーよ。」
「ガキじゃないです!私はもう今年で17になるんです。そろそろ嫁ぎ先も決まる頃です。」
「お前もう16か!?それにしてはガキっぽい・・いや、なんでもない。どっちにしろ16じゃガキじゃねーか。」
「魔王様も20くらいに見えますけど、そんなに歳は変わらないんじゃないですか?」
「俺はもう1000年以上生きてるから。お前とは違うよ。」
「またまたぁ、そんな事言って。」
「いいからお前はもう寝ろ!男の部屋でねちゃいけねぇんだろ?」
「はーい、そうします。」
扉から出て行こうとして、は振り返った。
そして帰り際に思い出したように一言付け加えた。
「また遊んでくださいね。楽しかったです。おやすみなさい。」
「お、おぅ、おやすみ。」
魔王は少し戸惑ったような顔をしていた。