第3章 姫の挑戦
「そうそう、それで、そっちはどう?」
「バッチリです。中庭でピクニックの用意を手配しました。美味しいサンドイッチを作らせますよ。」
「サンドイッチ!楽しみね。」
(ふふっ、楽しくなりそうね。あとは私も頑張らなくちゃ。)
朝食を食べながら言った。
「魔王様。」
「なんだ。」
「今日はとても良いお天気ですよ。何もしないのは勿体ないです。魔王様、私達とピクニックいたしましょう。」
「ふん、俺は忙しいんだ。そんなものに付き合っている暇はない。」
この館に来てかれこれ10回以上この言葉を聞いた。
だが、今日は違う。
「あら、今日は12時から14時まで予定はない筈ですけど。」
「なっ、何でそれを・・あ、お前か!お前がバラしたんだな!?」
「聞かれたので、お答えしたまでです。」
秘書さんはさっきのようなあくどい笑みを浮かべている。
「この際です。様と距離を縮められては如何でしょうか?」
「は!?くそ、それが狙いか!今までなんの為に冷徹キャラを貫いて来たと思っている!?」
「いえ、魔王様が似合わない冷徹キャラを一生懸命演じられた結果毎日『ふん、俺は忙しいんだ。』というワンパターンな返答しかできなくなってしまわれたのに笑いを堪えるのが厳しくなったからではございません。」