第2章 トラウマ
私に触れようとした手を
大きく払いのけた。
「やめてよ、触らないで!
ついて来ないで!あっち行ってよ!!」
「…っ!!、ごめん、聞いてよ!俺は…」
「もう、話しかけてこないで!信じられない、酷いよ!
カカシなんか大っ嫌い!」
涙をボロボロ流して彼をさらに攻め続けた。
カカシは、私の姿とその言葉に
一気に顔を歪め、
傷ついた表情をしている。
その表情に、一瞬怯んで思わず黙ってしまい、帰るタイミングを逃してしまった。
「……傷つけて、ごめん、。酷い言い方ばっかして…。もう絶対しないから、ごめん。ごめんなさい…。」
「…っ!」
カカシがあまりに泣きそうな
表情で真剣に訴えてきた事に
唖然としてしまう。
今にも彼がこの場で
土下座してしまいそうなのだから。
カカシと一緒にいた女の子達は、カカシが大好きだといつも言っていた。
あの子達は、カカシと
いつもそばにいる私が
嫌いだった。
だから多分カカシを煽り、
私が教室に戻って来る時に
タイミング良く、
言わせたんだと、分かっている。
だけど、それでも言っていいことと悪い事があるはずだ。
謝ったらそれでいいのか?
残念ながら私は
心が極狭な人間なのだ。
「もう、…いいから。」
とりあえずこの場を去りたくて
ぶっきら棒に言い放ち、
アカデミー校舎の外に出た。
カカシはもう
追って来なかった。
足取りが重く、ゆっくり帰宅して、自分の部屋に入った。
ふと壁にかかる鏡を見れば、
あまりの酷い顔に気がつく。
(目が真っ赤…何なの、本当にムカつく…)
その日、何故そこまで傷ついたのか
分からないが、
ずっと泣いていた。