第4章 彼の優しさ
「カカシ…様、お洒落なお店ですね、よく来るのですか?」
馴れないお店に
ソワソワしてしまう。
「あのね、敬語は冗談だよ、普通に喋りなよ。
あ、ここは俺のお気に入り。
個室だし、人目気にしなくて
大丈夫だからね。」
目の前には
口布を外しているカカシ。
整った素顔を久しぶりに見た。
何故、神は、天は、二物も三物もこの人にあげるんだろう。
うっとりするほど…とは
正にこの人の事を
言うのだなぁ、と改めて感じている。
「もしかして…ここ、嫌だった?
気に入らない?」
彼の声のトーンが一気に下がって、ギョっとしてしまう。
(何でカカシが
落ち込んでるのよ。)
「え!?そんな事ないよ、雰囲気が良くてステキなお店ね。私もこういうお店好きだな。
ここには、よく彼女さんと行くのかしら?」
私はサラリと
女の情報を得ようとした。
(女と鉢合わせとか
恐怖でしかない。家にいて殴られるなんて修羅場はお断りだ。)
「ずっといないよ、俺。
あんまりモテないんだよね。」
彼はビールを飲みながら当たり前のように答えているが、違うからね、私は知ってるんだよ。
どれほどの女性が彼に交際を申し込んだだろうか。想像が出来ないぐらいの数だ。
「またまたー、ご冗談をー。」
私の目は笑っていない。
(謙虚は最大の嫌味だと習わなかったか、イケメン君よ)
「まあ、本命はいるんだけどね。
その人以外にモテても意味ないから。」
カカシは真剣な表情で
私の瞳を見ながら言うもんだから、グッと息を止めてしまった。
まるで、私に言っているように感じて、
思わずドキっと胸が熱くなった。
「そ、そうなんだ、へぇー…。」
そうゆっくり目線を逸らし、
赤くなる頬を
隠すようにドリンクを飲んだ。
これがこの人のモテるテクニックかと、改めて感心する。
(大嫌いな人間さえも
ドキドキさせるとは、
凄い人だな。女が簡単に落ちるわけだ。)
「まあ、俺の家で女性と鉢合わせとか、絶対無いから安心しろよ、。」
安心させるように
笑って私を見つめた。