第1章 覆される/黄瀬涼太
他の女の子たちと比べられてるんだよね?なんて不安げに眉を寄せて見据えてくるのは、自分に自信がないといった顔。まぁ痩せてるかって問われたらそれなりに肉付きもよくて今時の女子の細さではない。胸も手に収まるくらいの大きさで大きくはない。おまけに目立つような子ではない。そりゃ俺の周りにいる子に比べたら自信もなくすと思う。だが肌の触り心地とか程良い肉付きがまたなんとも絶妙で、決して細い子では味わえない男心をくすぐるようなもので興奮が増してしまった。彼女は太っているわけではないが、女の子は細い太い、と体型だけは気にするものだから変に言葉をかけれない。
「今はみょうじさんの事で頭いっぱいっス」
と、声を掛けた。彼女はビックリしたようで、すぐに溜まっていた涙が引いた。
「ふふっ、私も黄瀬くんでいっぱい」
なんとも幸せそうな顔でそう呟く彼女が、なんだか愛おしくて、思わず屈んで唇を目指した。だが触れそうなところで止まる。恋愛の感情なんて芽生えてなかったのに、愛おしくてって…まるで恋してるみたいじゃん。ただの雰囲気だ。そんな面倒な感情あってたまるか。
「キス…してもいいスか?」
彼女は少し考えたあと、コクリと頷いた。瞬間啄むようにキスを繰り返した。
「ふっ…ん、」
彼女のひとまとめにしていた手を解き、両手で頬に触れる。息苦しいのか、許されなかった口元が開いたのを待っていたかのように舌を侵入させる。ピクッと動いた彼女を余所に口内を犯していく。必死に逃げる彼女の舌を逃がすまいと追う俺のそれはいとも簡単に捕まえてしまう。
「ふぁゃっ、ん…ふぅっ」
「んっ…」
俺とのキスに酔っているであろう彼女のブラウスを素早く開けて、胸の頂を軽く摘んでみる。
「ひゃうっ…き、せくん」
「なんスか?気持ちいんスか?」