第5章 第3者は初めからいなかった/黄瀬涼太
まさか本気なのか?なんの合図もなく口を塞がれた。勿論唇で。初めての事で身体が着いていかない。だけどこんな黄瀬涼太に処女だってバレたくなくてわからないなりに抵抗してみた。だけど逃げようにも逃げられない。顔を両手で押さえられていて、身体は彼の脚やらで固定されている。黄瀬涼太の胸元を両手で押してみても、びくともしない。塞がれて吸えない酸素を求めて口を開けると、ぬるっとしたものが入ってきた。
「んあっふっ…ん」
キスってこんなに激しいものなのか。そしてディープキスは付き合ってもいない子と出来るものなんだな、と客観的に考える。
「んふ…ン、」
だんだん頭がぼうっとしてきて、なにも考えられなくなる。気持ちいい。いつの間にか抵抗する事も忘れて、自分から黄瀬涼太を求めていた。
「アンタ、なんだかんだ乗り気じゃないっスか」
鼻で笑う黄瀬涼太。こんな顔もするんだ…。ゲスいヤツだ。
「本当に続けるの?」
「気分あがったくせによく言うっスね」
色っぽく、妖艶に笑う黄瀬涼太。いつもは見下して口元はへの字にして、開いたかと思ったら私を嫌いって言うくせに。なんなの。今更ときめきなんて生まれないんだから。
「アンタのプライド、ぶち壊してやるよ…」
それ以上は止めて。プライドという蓋を壊されたら気持ちに蓋をした意味がなくなってしまう。やっと落ち着いたんだから。
ーーーー黄瀬涼太への想い。