『探偵』前世の記憶を思い出した時、彼は私の恋人でした。
第1章 記憶を思い出したら『萩原研二』の恋人でした。
愛してくれると信じていた。私を見てくれると信じていた。でももうこれで最後にしなければ…目を覚ましたら諦めよう。最近私を好きだと言ってくれた後輩の男の子がいる…年下だからと尻込みしていたが、友人が背中を押してくれたし付き合って見ようかなと思っている。ゆっくりと目を開けて、気持ちを整理したらその後輩をちゃんと見て見よう。そう目を開ければーー…私の手を握り、眠っていた萩原研二がいた。
「は、ぇっ…なん、で…」
「んんっ…ーー…っ!都!大丈夫か!?ね、熱は?気持ち悪いとか、体がしんどいとか…あぁ。なにか欲しい物とかある?果物とか、プリンやゼリー、ジュースやお茶とか…俺なにか買って来るよ?」
「どうしているの…」
「!…ぁ、ぇっと…俺さ、今日の爆発物で仕事に来ていたんだ、通報してくれた女性が都だって知って…いてもたってもいられなくて、漸く見付けた…」
「私と別れたの、覚えてないの?私…置き手紙、書いたんだよ?」
「っっ!…別れたいって書いてあったの、読んだ…当たり前だよな、色んな子と浮気して、都は俺から離れないなんて勝手に思い込んでて…4年前に爆発物で助けられて、都は本気で叱ってくれて、情けなくて、でも嬉しくてっ…感謝の言葉も言えなくて、いなくなって…ぉ、おれな?都がいなくなってから浮気やめたし、ちゃんと防護服も着るし、仕事も真面目にやるようになったし…あの、だからっ」
「嫌わないで欲しい…今でもまだ都のことが好きなんだっ」
ポロポロと私の隣で泣いた。あの萩原研二がだ。ごめんなさいと謝って来て、握り締める手に力がこもる。私はどう答えればいいのかが分からなかった、あの萩原が…私を好きだなんて、ありえない。そんなわけがない。そう否定の言葉が頭を過ぎる。しかし謝り涙を流しながら私を好きだと口にする萩原は…研二は嘘じゃないと思った。
「私も、研二のこと好きだよ…ずっと愛されたかった」
「都っ…ごめん、俺っ…」
「ううん、もういいから…また一からやり直そう、ね?」
私の頬に擦り寄るようにサラサラとした髪がくすぐったい。久しぶりに触れた唇は柔らかかった。
ーーー。
研二くんが好きだけど脈がないから諦めていたヒロインと、ヒロインに甘えていたチャラ男の研二くんでした、ありがとうございました。