『探偵』前世の記憶を思い出した時、彼は私の恋人でした。
第5章 記憶を思い出したら『萩原研二』の恋人でした。2
萩原は都に会って、直ぐに結婚を申し込む気満々だったらしいのだが…絶対に引かれて振られるから止めろっ!そう俺は正気に戻って考え直せと伝えて、大惨事を未然に防ぐことが出来たようだ。
「先ず自然に再会するように振舞えよ…」
「都になにかあったら嫌だ…またいなくなったら、流石に俺は心が折れる」
「萩原…」
暗くなりしゅんとする萩原に俺も呑まれそうになるが…目が覚めた都のことを思うとそうだなとは素直に言い切れなかった。なぜなら元彼が目の前にいて、求婚されても好きになる女はいないだろう。寧ろ恐怖するんじゃないだろうか。と言っても都をチラリと見る萩原にいったところで聞いては貰えないと思う。
「萩原…」
「嫌だ、出て行きたくない…傍にいる」
「お前は子供か」
駄々をこねるとまでは言わないが、防護服を着たくないといった萩原よりも面倒で眉間にシワが寄る。俺はもう知らない、これ以上なにか伝えれば俺の命が危ない気がする。なにより俺と話をしながらも萩原は都の寝顔すら見せてくれない。かなりの執着心だ。
「悲しませることだけはすんなよ」
「あぁ、もうしない」
「そうか。なら俺は署まで帰って仕事に行くから、落ち着いた時に連絡寄越せよ」
病室から出て行く俺を見て、萩原は軽く頷く。まぁ…結局上手くいくかは自分次第だし、俺は親友の萩原が上手くいくことだけを願うばかりだと廊下を歩いていった。
ーーー。
そんなことがあり、今があるのだが…
「都って雰囲気変わったねぇ…」
「そりゃあ数年合わなくなったら性格も変わるでしょう…なに?悪いの?」
「いや、勿論いい意味でだよっ!」
「ふーん…じゃあ昔の私は好きじゃないと?」
「違う!昔も今も大好きだしっ!」
都は萩原に振り回されているというが、どう見ても萩原のほうが都に振り回されているようにしか見えない。それでも萩原は嬉しそうに目を細めて愛してると都に伝えているのを目にするから、これでいいんだろうなと注文したオムライスを口へ運んだ。
ーーー。
萩原さんの1の続きでした。また順番に書いていく予定になります。といっても結婚したところでお二人の関係性はずっと変わらなそう…ヒロインにずっと振り回され続けるんでしょうね!ありがとうございましたっ!