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『探偵』前世の記憶を思い出した時、彼は私の恋人でした。

第1章 記憶を思い出したら『萩原研二』の恋人でした。


新しい恋、新しい恋人。それもいいかも知れない。ずっと萩原のことが結局忘れられていないのだ…自分から別れて欲しいと置き手紙を置いたというのに。他の人を見てみる…そう頭を切り替えて既に女子力が皆無のように勢い良くビールをあおった。

ーーー。

ふらふらする、飲み過ぎた…なんてふらつく体で家へと向かっていた。送ろうかと言われ、私はやんわりと断るが強引に名前すら覚えていないチャラい男に車へと押し込まれそうになる。このまま行くとホテルへ直行されそうな勢いだと思い、嫌がる素振りを見せるも徐々に怪しい雰囲気に持ち込まれそうになり嫌だと抵抗した。あ…やばい、気持ち悪い。口元を押さえる私に、嫌な予感を感じ取ったのかチャラい男は私を車へ乗せることなくいなくなってしまった。本当に最低な男である、私は男運がないのだろうか…悪酔いの気持ち悪さと人恋しさに涙が出る。ずるずると地面に座り込んでしまい、泣いた。しかし誰も酔っ払い女の私に話し掛けようとする人はおらず通り過ぎて行く。

「っ…けん、じ…」

私が好きだった人、冷めてしまった関係…それでもやはり彼が好きだった。ぽつりと名を呟く、ドラマや映画ならここで現れるのに…現実はそんなに上手くはいかないなと自嘲な笑みを浮かべてふらりと立ち上がり家へと向かった。

ーーー。

私は爆発物に愛されているのだろうか…熱っぽいと火照る体に鞭を打ちながら米花中央病院に来ていた私は、妙な物を見付けてしまい小さく悲鳴を上げた。そう…爆発物があったのだ。ふと回らない頭で今日ってもしかして4年経ってたりする?私が萩原と別れて、松田さんが殉職する日?どうしよう、どうしよう。そう慌ててしまうも直ぐに公衆電話から警察へと連絡を入れた。

ーーー。

また歯車が動き出す。爆発物処理班が到着した。もう大丈夫だとふらつく体…安心して疲れがどっと押し寄せて来た。椅子へ腰掛けていたけれど、立ち上がろうとするも立ち上がれずそのまま体は横へと傾き、記憶が途切れた。遠くから私の名を呼ぶ萩原の声が聞こえたような気がしたが…気のせいだろうと目を閉じる。そして意識を遠くのほうへと飛ばした。

ーーー。

研二が好きだ、決して幸せじゃなかったし…愛されていなかったのも覚えている。だって告白したのは私から、キスやエッチをせがんだのも私から…彼に愛されたいなんて夢を見ていたがやはり結婚したかった。
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