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『探偵』前世の記憶を思い出した時、彼は私の恋人でした。

第5章 記憶を思い出したら『萩原研二』の恋人でした。2


ひっそりと私の耳元に萩原は近付き、都がエッチで可愛くて今すぐキスしたい。と言って来たから、私はバッと彼から顔を離した。今度は私が赤くなるのを見て、機嫌良く色っぽく笑った萩原が少しばかり腹立たしくて睨む。

「そんなことしたら本気で引っ叩くから」
「あはは…」
「はい、ナポリタン食べるからフォーク返して」
「あっ、はい」
「お前ら、イチャつくなら他でやれよ…」

松田くんは私と萩原を見て、引き気味に大きくため息をついていた。なぜだろうか、酷く解せぬ。

ーーー。

松田side。

「浮気公認の彼女ってどんだけお前の彼女優しいんだよ…」
「付き合う条件にそれでもいいって言ってくれたんだよ、都は俺のこと好きだからさ…」

今警察学校の同期と飲み会に参加していたりする。少し前くらいから、萩原に恋人が出来た。まぁ…そこは珍しいことじゃない。見た時にはいつも別の女を連れ歩いているからだ。正直俺からすればどうなんだと思うも、余り強くは言わなかった。聞いている雰囲気的に、萩原へいつも尽くすようなタイプで萩原の好みも合わせられて傍にいると安心するような優しく愛嬌のある感じなんだろうか。心配性なのが玉に瑕で、母親よりも口煩いのが最近鬱陶しいと酒を煽った萩原がいたりする。

ただその話を聞いていた降谷だけは苦々しい表情で「多分、いなくなったら絶対に後悔するような女性だろうな…しっかり繋いでおかないと逃げられるぞ?」といっていた。まさかその読みが当たるとは俺達は勿論、萩原さえも気付いていなかった。

数年後、相変わらず防護服を着ていない萩原は爆発に巻き込まれた。心臓が止まったかと思って、携帯からは大きな爆発音とツーツーという機械音しか聞こえない。しかし萩原は怪我一つなく生きていた。まさかそこで助けてくれたのは紛れもなく萩原の女である都だったらしいのだ。久しぶりに会った彼女に本気で怒られて、逃げるようにいなくなってしまった。謝りたくても携帯は爆発物のせいで吹っ飛んでないし…だから今直ぐにでも家に帰って彼女に謝りたいと伝えて来るが、先ずは報告書と始末書だろうがと頭を殴った。正直これが駄目だったのだろうか、もしもここで向かわせてやったら萩原の彼女は失踪することもなかったのかと思うも…漸く彼女である都のありがたみを知ったいい切っ掛けになっただろう。
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