『探偵』前世の記憶を思い出した時、彼は私の恋人でした。
第5章 記憶を思い出したら『萩原研二』の恋人でした。2
少し御手洗にと立ち上がる私は店員さんの梓ちゃんへと話し掛けて少し席を離す。すると一斉に女の子達はイケメンの彼等へと話し掛けに行っていた。今日はイケメン店員のあむぴさんこと、安室透さんがいないから何としてでも二人とお近付きになりたい様子だった。
「あ、あのっ!私達もお話しに混ぜて貰っても構いませんか?」
女子高生ではなく、女子大生くらいだろう若々しく華やかな女の子達が萩原や松田くんに対して話し掛けている。完全に空気な私は、あの華やかな雰囲気にズカズカ入っていけるくらい自分に対して自信はない為、梓ちゃんの元へと向いカウンター席へと腰掛けた。
「都さん…いいんですか?」
「うーん…まぁいいんじゃない?私は別に萩原と付き合っているわけでもないし、まだ会っていない安室さんの顔を拝みたかっただけだから…あっ!勿論、大好きな梓ちゃんの手料理を食べたかったっていうのもあるのよ?だからアイスティーにしたの!」
「わぁ…嬉しいです、ありがとうございます!」
「梓ちゃんの愛情たっぷりのナポリタンが食べたいなー…注文いいかな?」
「任せて下さいっ!都さんにご満足して頂ける美味しいナポリタンをお作りしますね!」
はぅ…今日の梓ちゃんも一段と可愛い。そう後光がさすような笑みで厨房へと戻って行く梓ちゃんが素敵過ぎて、私は彼女に恋をする乙女のように見ていた。
そんな私をうっとりとした目で見つめて来る萩原の視線が痛いくらいに当たる。本当に勘弁してくれ。それにしても女子大生の話なんて全く聞いておらず、寧ろ塩対応で「今、忙しいから邪魔しないで?」という言葉を投げ掛けている萩原がいたりするから驚きだ。おいマジでどうした、一体なにがあってそこまで君の性格を変えたんだとも思う。松田くんならまだしも、萩原、君は駄目だろう。基本女性に優しいのが君の特徴だったというのに。しかし女の子達は諦めていないのか、懸命に話し続けており女性らしい仕草などで可愛い女の子アピールを頑張っていた。
「あぁー…もう可愛い。あの表情で俺のことも見てくれたらいいのになぁ」
「今のお前には無理だろ。つーか都…俺も腹減ったから注文したいんだけど」
「いや、そこは自分で注文してよ…ちなみに私のオススメはオムライスです」
「ならそれで、後ボンゴレパスタも頼む」
「かしこまりました、少々お待ち下さい」