『探偵』前世の記憶を思い出した時、彼は私の恋人でした。
第5章 記憶を思い出したら『萩原研二』の恋人でした。2
そう…萩原のセンスはかなりいい。女子力が高いというのか私自身が女子力が低いから余計にそう思えるのだが、私に似合うというのをチョイスして来る。これじゃあ萩原の女だと松田くんに見られても仕方ないなと考えた。そういえば、ふと思い出したが萩原はタバコを吸わなくなったなと松田くんから萩原へ視線を移した。
「折角喫煙席にしたのに萩原は吸わないの?」
「あぁ…うん。俺今禁煙中だから」
「なんだ萩原。お前言ってねぇのかよ」
「あぁー!お願い松田!格好悪いから、言わないでっ!」
「へぇ…なに、松田くん。教えてよ」
「言わなくていい!言わなくていいからっ!」
「萩原五月蝿い、静かにして」
うぐっ…と口を閉ざす萩原に、私は松田にまた尋ねた。タバコから口を離してニヤニヤした表情で萩原を見る松田は口を開く。
「こいつさ、都がいなくなってからかなり荒れたんだよ…」
「へぇ…」
「で、日に日に女にも興味がなくなって最終的には都じゃないと興味がわかないし、無理だとか言い出してよ…都がタイプの男になりたくてタバコ止めたんだぜ?」
「はっ?」
「だっ、だってさ…都。タバコの臭いとか好きじゃなかっただろうし、無理に合わせてくれてたと思ったら申し訳なくて…」
「萩原、私のこと大好きかよ」
「うわぁ!だから言って欲しくなかったんだよっ!」
恥ずかしくて死ぬ…そうテーブルへと顔を伏せてしまった萩原に私までもがニヤニヤしてしまう。松田くんも男子高校生のようケラケラ笑ってアイスコーヒーを飲んでいた。
「それにしても良く分かったね…私がタバコ苦手だってこと」
「あぁ…うん。なんとなく?」
「あ?なんなら俺も止めるか?」
「いやいや、いいよ」
顔を真っ赤にして、私の顔をチラリを見上げて軽く首を傾げる萩原とタバコを灰皿に押し付けた松田くんがいたりする。私はアイスティーを飲みながら、店内を見渡して見たがあの人はいない。
「それにしても…イケメンの店員さんに会いたくて見に来たのに、今日も会えずじまいか」
「イケメン?俺達がいるのに?」
「自信家か。まぁ…萩原や松田くんがイケメンなのは認めるけどね」
でも!それとこれとは違うんだよっ!アムサンドならぬ、ハムサンドが食べて見たい!コーヒーが飲みたい!イケメン三人の同期組を微笑ましくモブとして慎ましく見ていたいのだ。