『探偵』前世の記憶を思い出した時、彼は私の恋人でした。
第4章 記憶を思い出したら『降谷零』の恋人でした。
「ライはNOCでした、数年前…スコッチを殺すことは、RAMやジンからの命はなかったはず。なのに自分から殺しに行ったというのに…ライは放っておくんですね」
「ライねぇー…」
「人でなしと言われた貴女も、ライには弱いですか?それとも怖いと?あの男は敵に回したくはない、そういうことですか?」
「…確かに、そうかもね」
私は面倒くさいような返事を返す。ともあれ、私の好きな人は目の前にいるんだけれど…まぁライ。赤井秀一は死なないだろうし、なんとかなるでしょうと既に放置である。スコッチが死んで、彼は私を恨んでいる。話し掛けることもなければ、愛を囁いてくれることもない。冷たい視線を向けて来て、作り笑いを浮かべられる。
「都さん…僕は貴女が怖い。なにを考えているのかが全く予想出来ませんので」
「そうね…私はただ名前の知らないあの人の為に、動くだけのことよ」
「あの人…ですか」
「えぇ、全てはあの人のために…」
名前を知らない…バーボン。安室透。そして降谷零を愛している。彼の為に…そう目の前にいるバーボンへ向けた言葉だったけれど鋭さを増した視線に、当たり前か…気付くわけがないわよねと目を伏せた。
ーーー。
ライがいなくなり、原作へと進んでいる。私は次に伊達さんを救おうと彼をなるべく監視した、交通事故なんて余りにも不運だし、結婚間近だというのに…そう待ち伏せして、高木さんと一緒にいる姿の時を何度も見ていた。そして物を落として拾おうとする彼の手を引いて、ぐいっと引っ張り倒れ込んだ。するとガシャンとトラックが壁へとぶち当たる。
「あっぶな…」
「お、おい!お前大丈夫か!?」
「え、えぇ…なんとか」
驚きながら私を見ていた伊達さんは直ぐに対応へ向かう、いや…流石は刑事なのかお礼を伝えると運転手を助けに行ったのだ。後はなんとかなるだろうと地面に手を着いていたため、パンパンと体の砂埃や手のひらの汚れを払う。そしてスコッチが待つセーフハウスへと帰って行った。
ーーー。
ごめんね。工藤新一くん…私は君のことは見捨てたくはないが、原作を考えると君には子供になって貰わないと困るんだ。だからどうかライやバーボンを助けてあげて。そうウィスキーのバーボンを見下ろして酒を飲み干すように煽った。
ーーー。
「明美ちゃん、こんにちは…久しぶりの再会ね」
「都、さん…」