『探偵』前世の記憶を思い出した時、彼は私の恋人でした。
第4章 記憶を思い出したら『降谷零』の恋人でした。
絶対に、好きになってはいけない。そう目を閉じて彼の唇を感じた。
ーーー。
スコッチがNOCだとジンから聞いた。どうせもう死んでいるんじゃないかと言われるも、私は彼の言葉を無視して部屋を出て行く。どこで死んだとか、全て覚えている。だから私は廃ビルへと先回りした。
ーーー。
「スコッチ…みぃつけた」
「っ、なんで…」
「なんでって、貴方を殺しに来たのよ?私は組織の人間…裏切り者には死の制裁を」
カチャと拳銃をスコッチの前に見せた。さようなら、スコッチ。そう微笑み撃つ。バンッと音が鳴り、スコッチの心臓に当たる。じわじわと血が流れ落ちた。そして彼はズルズルと座り込む。
「スコッチ…貴方はこれで死にました。だから今日から私が貴方を拾うわね?」
「心臓を、撃ち抜いたんじゃ…」
「少し痛いけど我慢しなさい。それにこの拳銃はエアガン…中身はペイント弾よ」
「はっ?」
「貴方に今死なれちゃ困るのよ。有能は手元においておきたいの、さてと組織を裏切る…その共犯者にこの私がなってあげる。着いて来なさい?」
手を伸ばす私に、戸惑う彼。なんのメリットが?組織に連れていくだけなのでは?そう考えているに違いない。なので私は彼を軽々とお姫様抱っこした。
「共犯者ーー…そうね。強いていうなら、恩讐の彼方より我が共犯者を笑いに来たぞ!かしらね?」
「えっ…」
「知らないならいいわ、気にしないで…いくわよ?」
抱き上げたまま、私は廃ビルを駆け抜ける。運動神経のいい私は基本的に肉体派だから、パルクールを行っても案外大丈夫だった。
ーーー。
「スコッチが…死んだ?」
「えぇ、私が殺したの…裏切り者は死の制裁を。でしょう?バーボン?」
「死体は…」
「あら?貴方にそんな趣味があるなんて知らなかった…でもごめんなさい。八つ裂きにして炎に焼かれて海へ流してしまったわ。でも私の体を調べれば分かるんじゃないかしら…彼のDNAが体中についているんですもの。早く洗い流したい…」
恨む、その瞳がバーボンから私へ向けられる。そう…これでいい。貴方は私を恨めばいいのだ。それできっと私は最後、貴方に直接殺して貰えるはずだから…そう歪に笑った私を押し殺してにこりと無理に口角を上げて彼自身も笑った。
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「都、お前…結構無茶するよな」
「ごめんね、スコッチ…軟禁ってつまらないでしょう?」