『探偵』前世の記憶を思い出した時、彼は私の恋人でした。
第4章 記憶を思い出したら『降谷零』の恋人でした。
※女主死ネタ。からの逆行して救済する話し。
私は組織の古参で幹部の人間だ。なのに…バーボンを、安室透を、降谷零を愛してしまった。彼からすればハニートラップをして組織の情報を欲するがために私と恋人になっただけであり、きっと愛はないのだろう。しかし恋人に見せるような柔らかい表情で、愛を囁いてくれるから…私も調子に乗ってしまい心が弾み簡単に騙される。バーボン、愛しています…誰よりも。なによりも。けれど私は組織の人間…最後は貴方と戦わないといけない。でもそんな器用なこと…出来るわけがなかった。だって…彼を。降谷零を本気で愛してしまったのだから。そう組織殲滅の当日、下っ端が隠れておりその拳銃でバーボンを撃った。私はバーボンを守るように抱き締めて背中へ何度も撃たれる。そう…これで良かったのだ。口から吐血するように地面へと倒れ込み、彼の部下達が一斉に逮捕していた。目の前が霞み、優しい彼は私の肩を抱いて何度も私の名を呼んでいた。これでいい…どうか。
「しあわせに、なって…ばーぼん」
「な、にを、どうして…お前が、俺を、庇うような真似をっ!巫山戯るな!死ぬな、生きろよっ!都っ!!」
最後くらい笑ってお別れしたいじゃない。そう私は彼に笑いかけてそのまま気を失うように死んだ。
そう…死んだ、はずだったのだ。なのに私は…生きていた。かなり若くなっていてだ。アポトキシン4869の薬は呑んでいないというのに、随分若くなっていた。高校生くらいだろうか、運動神経は組織にいた頃と変わってはいないが…そうビルをパルクールするように飛び回る。そういえば…今日は何年何月だろうか?ふとビルから下を見下ろすと、地面には沢山の警察官と特殊部隊がいた。まさかと思う…といっても相手は先ず知り合いじゃないし組織の人間が人助けだなんて。と昔の私なら思うがバーボンの同期で友人だ。なんとしてでも助けなければ…そうビルを飛び越えて、大きなガラスへ勢い良くガシャン!と割って入った。パラパラと破片が落ちる、破片を振り払いながらパキパキとガラスを踏み付けつつ萩原さんを見た。萩原さんは煙草を吸おうと思っていたようだが、ギョッと目を見開いてポロリと煙草を落としてしまう。そんな彼を抱き上げお姫様抱っこをすると、他の処理班に向かい「走りなさい!遠隔操作で爆発するわよ!」と声を張り上げて伝えると全力疾走で階段まで走った。