『探偵』前世の記憶を思い出した時、彼は私の恋人でした。
第3章 記憶を思い出したら『緑川景光』の恋人でした。
「…どうして、泣いて…」
「ぃえ、あの…ごめんなさい…ごめん、なさっ…」
「まさか、なにかあったのか…?今どこにいるんだ!?」
「えっ、ぇっ…?」
「言ってくれ、直ぐに行くから」
「い、家…です…けど」
「分かった、待っていてくれ」
えっ?なんで?頭の中がクエスチョンマークで埋められる。大丈夫だと伝えても、電話の向こうから「ゼロ、悪い…今日は帰る!」なんていう言葉が聞こえて電話が切れた。
なに?どういうこと?そう独り言が漏れる。あわあわする私は、今一人暮らしであり景光くんと別れてから家を引っ越したから私の家とか知らないよね!?なんて一人でおろおろしていた。ただ涙で目が腫れぼったくなっているのは見せられない。高校生や大学生の頃…まだ景光くん付き合っていた時とか、なるべく私は明るくしていたし泣き言なんて言わなかった、ましてや泣くなんてありえないことだし、こんな弱々しい姿とか見せられないと切れてしまった携帯を握り締める。後は掃除とか…やるべきことは多い。私は腫れぼったい顔を洗うと、急いで掃除に取り掛かった。
ーーー。
一応見られる部屋になっただろうか、というように見渡せばドンドンドンと玄関のドアを叩かれる。私は一度自分の顔を確認し、玄関のドアを開けたーー…そこには、なぜか東先生がいた。
「えっ、なんで…東、先生が?」
「都先生…あぁ、都先生!会いたかった!ずっとあの男が邪魔をして来て、学校も辞めさせられるは…くっそ!あの男は危ないよ!君のことをずっと見ている!だから僕が君を守る為に来たんだ!もう大丈夫だよ、僕の車に乗って僕の家に行こう!さぁ!」
いや、危ないのはアンタだ。そう口に出さなかった私は偉いと思った。なんでこの人私の家を知っているの、話していることが支離滅裂で、目が血走っているし、私の手首を強く握って置いてある車へと無理矢理乗らそうとするところとかかなり危ない人だった。もしかして数日前に私を付けていた人は東先生で、景光くんがなにかして学校を辞めさせられたとか?そんな感じ?そう乗せられそうになり、嫌だと手を振り払えば睨まれる。
「君はもっと落ち着きのある清楚な人だと思っていたのに!違う!君はあの男に騙されているんだ!そうだ!そうに違いない!」
「ぃやだっ…はなしてっ…ひろ、みつ…くっーー…」
「都に気安く触るな…」