『探偵』前世の記憶を思い出した時、彼は私の恋人でした。
第3章 記憶を思い出したら『緑川景光』の恋人でした。
高校生二人はキャーキャー盛り上がるように後ろで叫んでいるが、私に添えて来る手は徐々に力が強くなり笑顔の下で「絶対連絡寄越せよ?断った場合は分かってんだろうなー?」という懐かしい降谷くんの姿が垣間見えた気がした。私はコクコクと首が外れるんじゃないかというくらいの頷きを見せて、冷や汗をかきながらポアロを出て行く。
「やりましたね!おめでとうございます!都先生っ!」
「安室さん、ずっと都先生のことを気にかけていたので応援しています!」
「あはは…うん…ありがとう…」
安室さん、いや…降谷くん相変わらず怖い。私に対してはやはりバーボンやないかい。と内心心臓がバクバクである。ついついレシートをぐしゃりと握り潰してしまい、恐怖した私は仕方ないだろう。
ーーー。
アドレスと電話番号が殴り書きされるように書いてあった。私は急いで連絡しようと電話をする、何度かコールが鳴り出てくれた。
「はい、緋色ですが…」
「へっ…」
「?、もしもし…どちらさまですか?」
「あっ…ご、ごめんなさい!間違えました!」
「えっ、ちょっ…」
ブチッと切ってしまった。待って、待って、待って!なんで!?だって今の声…緋色って言ったけど、景光くんじゃないか!相変わらず声がカッコイイなー…とか思う前に、驚いてしまい切ってしまったが大変失礼なことをしてしまったと顔を真っ青にさせる。というか降谷くんはどうして景光くんの連絡先を教えたのだろう…新手の嫌がらせとか?私はもう景光くんに嫌われているから、連絡をしたところでなんの意味はないのだけれど…そう携帯を見下ろしながら、まとまらない頭で必死に考える。しかしなぜか、あちらから電話がかかって来て携帯を落としそうになる。私はひぇっ!と妙な声を上げてしまった。どうしよう!どうしよう!やっぱりストーカーとか思われた?気持ち悪いって思われた?高校一年の頃は嫌われたくないとか思う以前に、絶対好きにさせて見せる!なんて一体どこから来る自信があったのかは分からないが、当たって砕けても怖くはなかった。しかし今はもう大人で、これ以上嫌われるのが怖くて仕方なかった。けれど、何度もコールが鳴り。諦めたと思ったらまたコールが鳴るというのが何回も続く。どうしよう…やっぱり怒らせてしまっただろうか?そう涙目、涙声で震えながら電話を取った。
「ぁの…ごめんなさいっ」