『探偵』前世の記憶を思い出した時、彼は私の恋人でした。
第2章 記憶を思い出したら『松田陣平』の恋人でした。
「えっと…ごめんなさい。体調が悪いって言ってたの…あれ、嘘だったの!」
「はっ?」
「うん!分かってる!怒って貰っても文句言えないし、寧ろ頬とか引っぱたいてくれても構わないと思ってる!でも…でもさ、陣平。この数年私のことを構ってくれなくて、連絡も忙しそうで出来なかったし…どうしても最後、陣平とどうしてもデートがしたかったの…これで諦めるつもりはあったし、病院に連れて行って貰ってから、軽く遊園地で遊んで別れるつもりだったんだ」
「なんでそこで、観覧車を貸し切りにする必要があるんだよ」
「陣平、ここ最近かなり切羽詰まっていたし、外の風景をのんびり眺めていたら…気分も落ち着くかな。なんて…ごめんなさい」
絶対アホな子だと思われた。呆れてなにも言えないのだろう、その証拠に俯いていた松田の顔が天パに隠れて見えない。
「都…お前って本当、馬鹿だよな」
「ぅ、知ってるよ…そんなの…」
でも、惚れた男を助けるためなら馬鹿にだってなってやる。それくらいやっぱり松田陣平という人が好きなのだ。
「なら、今度行くか…遊園地」
「えっ?」
「癒してくれるんだろ、観覧車で」
そう陣平はサングラス越しに笑かけて来て、優しく私にキスをした。
ーーー。
※後日談。私は3年ぶりに陣平と…なぜかコナンくんや蘭ちゃん、園子ちゃん。少年探偵団の子供達と大所帯で遊園地に来ていた。陣平の顔はとても渋っているようでそのまま私を見る。
「阿笠さんに頼まれちゃって…断るのはやっぱり可哀想だし、あの子達もいい子にするから連れて行ってって可愛い顔で頼まれたら断れないし仕方ないと思うんだ…」
「…お前な」
「でも…予行練習として考えたら素敵じゃないかな?」
「はっ…?」
煙草を吸っていた陣平の吸殻を奪い去り、吸殻入れへと捨てる。目を丸くする陣平に向かって微笑みつつそっとお腹を撫でながら口を開いた。
「この子の為にも先ずは禁煙から頑張ろう…パパ」
「はぁっ!?」
「「キャー!」」
蘭ちゃん園子ちゃんからは大きな悲鳴に似た歓声が上がり、おめでとうございます!と伝えられた。陣平はと言えば私を見て勢い良く手を取った。
「俺と結婚して下さい」
「!…は、はぃ」
陣平は嬉しさを噛み締めながら私を抱き抱えた。恥ずかしいから下ろしてと伝えても危ねぇからという陣平は相当過保護になる気がして仕方なかった。