『探偵』前世の記憶を思い出した時、彼は私の恋人でした。
第3章 記憶を思い出したら『緑川景光』の恋人でした。
「好きです!大好きですっ!今世で生まれる前…そう!前世から貴方だけを見ていました!だから私と付き合って下さい!」
「はっ…?」
「あ゙ぁ゙?」
昔…私がまだ高校一年生の頃、壇上に立つ降谷零くんの姿を見た時はうわぁ、こんなにカッコイイ人なんて本当にいるんだー…くらいで思い出すことはなかった。遠くで見ていられたらいいな?くらいのアイドルを連想させる雰囲気を醸し出す降谷零くんと、その幼馴染の男の子とは全く接点はなかった。
なのに廊下で擦れ違う時、キャッキャッと女子達に騒がれている降谷零くんとその隣で楽しげに笑う男の子の声を聞いた時、グリリバボイス!?どこから!?と前世の記憶が甦って来た。そして私は無意識に彼、スコッチの手首を掴んでしまっていて目を丸くさせる彼に向かって大声で叫ぶように告白した。目をきょとんとさせるスコッチの隣で、鋭い眼光で睨むように私を見下ろす降谷零くんがめちゃくちゃ怖い。ひぇっ…あれ、既にバーボンもどきですやん。と思った私は悪くないと思われる。
「えっ、えぇ…?」
「あ、えっと!弥刀都と言います!お名前を教えて貰ってもいいですか!?」
「えっ…?」
「は?呆れた、話しにならないな…景光、行くぞ」
「っ、それでも私は貴方が好きです!諦めませんから!絶対振り向かせて見せます!」
そんな感じで私はスコッチこと、景光くんに全力で押して押して押して押して…結局あちらが折れるという形で彼氏になってくれた。最初は降谷くんに止められるわ、嫁をいびる姑の如く陰湿な嫌がらせをされたりと大変だった。その隣で苦笑いを浮かべる景光くんが可愛くて頑張ろうと思えて私は全力でまた告白する。最初は降谷くんとぎくしゃくした関係だったけれど、私が本気で景光くんを好きだということが伝わったのか今は仲良くさせて頂いている。そしてそんな幸せがずっと続いて行くと思っていた私は忘れていたが、彼が急に別れて欲しいと面と向かって言われてしまい、音信不通となった携帯を見下ろして「景光くんは公安で数年の間に殉職するじゃん…」と目の前が真っ暗になり泣いた。
「それでもやっぱりまだ好きなんだよ、馬鹿野郎…」
始めては声だった。それでも彼と関わっていくうちに見えて来たのは女の子に対して優しくて、いつも周りを良く見ていて、とても落ち着いていて周りを明るく照らしてくれるそんな人だった。