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『探偵』前世の記憶を思い出した時、彼は私の恋人でした。

第2章 記憶を思い出したら『松田陣平』の恋人でした。


一週間、仕事をしつつ寧ろ休暇だと思って旅行を楽しんだ。神社を参拝し、和菓子や抹茶を食べ歩き、老舗の湯豆腐を食べて最高に満喫した、そんな私は手土産を抱えて米花町へと帰って来た。

「うぅーん!はぁ…やっと帰って来れた」
「おぅ!お帰りお疲れ!」
「部長…なんで」
「お前と何年仕事やってると思ってんだ、新人のお前を可愛がってやったのは俺だろ?で?どうだったよ?京都は楽しかったかい?」
「抜け目ないですねぇ…はい。どうぞ。あちらから契約をとって来ましたよ?京都は中々楽しめましたし、楽しい休暇をどうもありがとうございましたー…」
「弥刀さん、本当優秀…ずっと俺の下でいてね?」
「いや、逆に追い抜いてこき使ってやりますよ、寝首かかれないようにお気を付けて」
「おぉ、怖っ…肝に銘じておくよ。ありがとうな…あぁなんなら送って行こうか?」
「いいんですか?荷物がかさばるし両手が塞がっていて困ってたんですよ?」

好意は受け取っておこうと荷物と一緒に後部座席へ座った。確か部長は今日一日、家に帰ってゆっくりしていいと言っていたし…会社への手土産は部長が届けてくれるとも言っていたから私は自分用の荷物を手に取り家へと下ろす。軽く頭を下げて部長の車が見えなくなるまで見ていて、家へと向かった。

ーーー。

「あれ?鍵開いてる…?」
「よぅ…随分楽しそうだったじゃねぇか」
「ひぇっ…」

待って、待って。今の状況に頭が追い付かない。なんで松田が私の家にいるの?なんで私は手首を捕まれて自分の部屋に押し込まれるように引っ張られて、玄関のドア越しに足ドンされてるの?ダンッ!て言った。地を這うような低い声で私を見下ろす無表情に近い松田の顔がリアルにヤのつく職業にしか見えなくて警察官に見えないよ!この人怖いよ!誰か助けて!と私は小さく震えていた。

「で、なんでいなくなった…」
「急遽、仕事が入りまして…きょ、京都へ…出張に…ぃ、行ってました…はぃ」
「さっきの男は?あぁ゙?俺はアンタと別れたつもりもねぇぞ?」
「だ、だから…まっ、待ってたの?」
「俺に合鍵を渡していたのは間違いだったなぁ…まぁ鍵がなくても俺は器用だからピッキングなんかして開けるけどな」
「それ…お兄さん、犯罪ですわ…お巡りさんこっちです」
「残念だな、俺がお巡りさんだ」
「現実は非常である…というか、やっぱり怒ってるよね?」
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