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『探偵』前世の記憶を思い出した時、彼は私の恋人でした。

第2章 記憶を思い出したら『松田陣平』の恋人でした。


なぜか、完全犯罪を考える犯人のようだと爆発した観覧車を見上げていた。本当なら陣平はここにいたのだろうか…そう思い返すとゾッと体を震わせる。遠くから佐藤さんの声を聞いた。その言葉には「松田くんが、今米花中央病院の爆発物を解体させ、誰も死傷者はいないそうです!」などとそう目暮警部に伝えている姿を見る。

携帯を取り出してメールをする「今までありがとう、私のことは忘れて幸せになって下さい…さようなら」と簡単に文字を打った。そしてそのまま佐藤さんとこれで幸せになるであろう陣平の連絡先を切る。私の狡さで陣平…いや松田を救った。でもこんな私じゃ釣り合わないのも事実で、佐藤さんに連絡を入れた松田の姿はきっととても穏やかだっただろう。佐藤さんの美女さに綺麗だなとうっとりする、本当に二人はお似合いだと思い知らされた…流石は公式カップリングだと思う。

そう私はコソコソと逃げながら、受け付けの職員さんに100万の小切手を手渡した。自分の口もとに人差し指を置いて「宜しくお願いします」としー…と笑って遊園地を出て行った。

ーーー。

「弥刀さん!今から出張をお願いしたいんだが構わないかい!?」
「……嘘でしょう、部長私今日有休…というか準備とか全くしておりませんが」
「優秀な君じゃないと困るんだよ!仕事の書類など入った荷物は君の後輩の女の子が米花駅で待ってくれているから、京都の方まで一週間!軽い休暇だと思って!頼むよー!」

私の表情筋が死んだ気がする、遊園地から直ぐにタクシーを拾い荷物を取りに帰りたかったが、電車に乗る時間は既にギリギリになっていた。帰る暇すらなさそうだと左手の首を見ながら時計を眺めた。

「後輩の女の子が、君のスーツや着替え…化粧品を買って待っているから直ぐに向かってあげて欲しい」
「私の可愛い後輩ちゃん、マジ優秀か…というか、私に拒否権ないじゃないですか!社畜には世知辛い世の中だよー!部長の鬼畜!」
「弥刀さんなら断らないと思ってね」
「くっそ、確信犯ですか、流石はドSですね…」

最高の褒め言葉だ、頑張っておいで。と笑いを堪える部長に苛立ちがわきブチッと電話を切った。しかしまぁ…一週間かと考える。出張だから一応仕事だが、気持ちを切り替えて軽い旅行だと思えば松田のことを忘れられるだろうかと思った。

「もう!運転手さん!米花駅までお願いします!」
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