第1章 始まりは突然に
断固として動かない私の前に、ガサッという音に続いて人が現れた。
どうやら彼は草むらを飛び越えた模様。
おお…ふ。やってしまった…。
私はビックリして思わず顔を上げてしまったのだ。
そして残念なことに会長と目があってしまった。
視線が交わると彼はニヤッと笑う。
「…さっきの、見てたよね?」
ニッコリと笑う彼の後ろにはどす黒いオーラが見える。
口調が違うのも更に怖さを際立たせており、異論は認めない、とでも言わんばかりの圧力だ。
「い、いえ…ワタシ、ナニモミテマセン」
どうしよう、とグルグルと私の脳はフル回転する。
「嘘つけ。視線が泳いでるし、何でカタコトなんだよ」
会長はあきれたようにため息をつく。
う゛っ…