第1章 始まりは突然に
「そういや、何で私なんですか?」
前から気になっていた素朴な疑問を投げかけると、伊織さんが説明してくれた。
「実は五人目の応募もしてたんだけど、鷹広が全員不合格にしちゃってね。 なかなか見つからなくて困ってたんだ。 そんな時、鷹広が君を推したわけ」
おお、流石伊織さん。 スラスラと出てくる言葉は無駄がない。 まさに生徒会のお兄さんみたいだな、とトランプを並べながら思う。
「そうそう。しかも、締め切り今月までだったし」
ブーブーと口をとがらせる春樹さん。
「あの、締め切り過ぎたらどうなるんですか?」
「んーそうだね。もう一回選び直しになるかな、会長から全部ね」
ええっ、それって大変なんじゃ…
「まぁ、俺ら以外にも生徒会になりたいって奴らは山ほどいるしー? 学校側としては困らない訳なんだけどねー」
ソファーの上であぐらをかく隣の金髪のお兄さん。
先輩、お行儀悪いですよ。
「でもそれだったらウチの会長が…ね。 鷹広、目立ちたがり屋だから」
苦笑しながらチラリと横目で会長を見る伊織さん。
え、そうなの?とつられて会長の方へ目を向ける。
「当たり前だろ。 何のために一年半教師や同級生達に良い顔してきたと思ってんだ」
ハッと鼻で笑いながら、ペアのカードをテーブルに置き当然のごとく言い放つ。
そんな器用なこと出来るならもっと別のことに生かせばいいのに。