第1章 始まりは突然に
――――翌日。
「ああああー…何でOKしちゃったんだろう…」
私はどうしようもない思いを呟く。
あの後、結局会長の圧力に負けて請け負ってしまったわけで。
本日も無駄に飾られたドアの前に立つ羽目に。
カチャリ、とゆっくりとドアを押す。
「こんにちわー…」
「ヒメちゃーん!!」
はっ、えっ!?
突如私の視界は男子の学ランとパーカーで覆われた。
そして衝撃が襲いかかり、何者かにぎゅうっと抱きしめられる。
ちょ、苦し…息できないんですけど。
『抱きしめる』じゃなくて『絞め殺す』じゃないのか、これは。
「ハル君、姫野さん嫌がってるでしょ。離してあげて」
沙織さん、貴方は神ですか。
「はーい」と声がして、パッと解放される。
し、死ぬかと思った。 私は空気中の酸素をありったけ吸い込む。
この人はどうもスキンシップが激しすぎる。
「だってヒメちゃん来ないかと思ってー! 昨日タカがいじめるからっ」
「はははー…」
そりゃあ、行かないわけにはいかないでしょうよ。
それに、生徒会の人達は(会長を除いて)良い人そうだし。