第1章 始まりは突然に
「おい、何ぼけっと立ってんだよ」
気付くと、いつの間にか会長が側まで来ており、ズビシッと私にデコピンをする。
「――――…っ!」
あまりの痛さにしゃがみ込む。
このやろう。 フルパワーでやりやがった。
トナカイの鼻みたいに一部分だけ赤くなった私のおでこをさすり、全く悪びれのない会長をキッと睨む。
しかし、そんな私なんて気にもせず「良いから座れ」とソファーを指さす。
会長のいいなりになるのは嫌だけど、ずっと立ったままもどうかとは思うので、とりあえず渋々誰も座っていない左側のソファーに腰を下ろす。
出来るだけ会長から離れた位置に座るのが少しもの抵抗だ。