第1章 始まりは突然に
「おしるこ…じゃあタカ君が言ってたのはこの子だったの」
全く表情を変えず私の方を向く女の子は、黒髪のサラサラストレートで肩までかかっている。
(うわあ…美人)
その手にはドーナッツが握られており、テーブルの上にあるお皿の痕跡を見ると、どうやら最後の一個らしい。
甘い匂いの原因はコレだったのか。
「君が姫野さんかー。かわいそうに」
私がその女の子に見とれてると聞いたことのない声がした。
何で私の名前を…
声の聞こえた方を見ると、奥の机でパソコンをいじっていたらしい男子が苦笑しながらこちらを見ている。
この人も端整な顔立ちをしている。 黒髪のサラサラストレートで…って、ん?
何か、この二人似てないか? 髪質とか顔もだけど、雰囲気もどことなく似ているような…ま、気のせいか。