第1章 始まりは突然に
「し、失礼します…」
そうっと生徒会室に足を踏み入れる。
うわっ…何というか、凄くキレイ。 それに豪華だ。
ふわん、と少し甘ったるいような香りがする。
奥の窓際に四つのステンレス性の机(先生が使うような)が向かい合って設置されており、手前には二人掛けのソファーが二つ、長テーブルを挟んで置いてある。
私から見て右側のソファーに女の子が、右奥の机に男子が座っているのが見える。
そしてなぜかテーブルの奥に一つだけ目立つようなイス(しかもふかふかそうな)があり、例のように悪代官様が足を組んでお座りになられていた。
「…遅い。春樹」
イライラしたように足を組み直す会長。
「ごめんごめん。いやーでも代わりに可愛い子ちゃん連れてきたからさ、ホラ」
春樹と呼ばれた男子は私の肩に手を置き、トンッと押し出すように軽く触れる。
か、可愛い子ちゃんだなんて、初めて言われた。
慣れない女の子扱いに戸惑うけれど、悪い気もしないので、ちょっと照れる。
「可愛い子ちゃん、ってそれお前…おしるこ女じゃねえか。…お前、とうとう目が腐ったのか」
会長はあ然とした後、額に手を当てて残念がる。
っておい。 本人の前なのに失礼だなこの人。