第1章 始まりは突然に
「あ、そうだ。瑞希、生徒会長について何か知ってる?」
瑞希はかなりの情報通だ。
もしかしたらあの人についても何か知っているかもしれない。
「え。生徒会長?…あんたが男の事を聞くなんて、驚きだわ。何、気になるの?」
瑞希はニヤニヤしながらうりうりと腕を押しつけてくる。
「そ、そんなんじゃないよー」
大体あんな変態腹黒最低野郎、タイプでも何でもないし。
むしろもっとも苦手な人種だ。
「そうねー、フルネームは 眞木 鷹広 (まき たかひろ)。 顔が良くて優しくて学年主席。 運動神経も申し分なし。 理想の王子、なんて呼んでる子もいるくらいのスーパーボーイね」
「へ、へぇー…」
すらすらと情報が出てくるほど有名らしい。
でも、私が知ってるのは悪代官なところですけど。
瑞希の言う優しさなんてかけらも印象に残ってない。
「ま、私にはそんな良いモンには見えないけどね」
おお!!さすが瑞希、会長の腹黒さに気がついて…
「私のストライクゾーンはなんと言っても、西洋のおじさまだから。 アジアのガキなんて眼中にもないわ」
…そうだった。 瑞希はマニアックなおじさんフェチだったっけか。
キラキラと輝く瑞希の瞳は今までにないくらい生き生きしている。