第1章 始まりは突然に
「ううっ…」
「珍しいわね、あんたが遅刻するなんて」
そう。案の定私は五限目に遅刻してしまい、大目玉を食らったところだ。
私は真面目さだけが取り柄だったのに。
「しかもよりによって数学の鬼教官…」
「あんた、すごい絞られてたもんねー」
苦笑する瑞希。
瑞希がかばってくれてなかったら、いつまで説教されてたことやら…
「そういや、何であんなに遅れたの?」
「そうだっ!!あのね、瑞希ー…」
『他言無用』
会長の言葉が頭に浮かぶ。そしてその後の四文字も。
生徒会室、行かなかったら… ど、どうしよう…
「ん?咲、どうかした??」
瑞希に顔を覗かれて我に返る。
「…う、ううんっ!何でもない!」
瑞希には申し訳ないけど言えない。