第11章 嘴平伊之助
~炭治郎~
「お兄ちゃ…お姉ちゃ……怖いよぉ」
えぐっえぐっと嗚咽を上げながら俺と禰豆子の手を握る幸子。元気に笑いながら人一倍母の手伝いをしていた昼間とは大違いだ。
「大丈夫だ。暗闇が怖いなら眠るまで兄ちゃんが手を握っておいてやるから」
「ほんと…?」
「お兄ちゃんが嘘ついたことないでしょ? 私も握っててあげる。だから目を閉じて幸子」
禰豆子がそっと頭を撫で、幸子の手をぎゅっと握る。すると、ウトウトと目を閉じかける幸子。
「ありがと…お兄ちゃ…お姉ちゃ……」
安心したように微笑みながら、真っ赤に腫らした目をゆっくり閉じる幸子。俺と禰豆子はそんな幸子の様子を見て、顔を見合わせて俺達は微笑んだ。夜眠ることが怖いなら、俺たちで寝かせてあげよう。それでも怖いなら、俺達が守ってあげよう。この小さい妹が夜が怖くなくなるまで…俺と禰豆子はその時そう思った。
「それが……見ないうちに本当に逞しくなったなぁ」
「おい!かまぼこ権八郎!! なにボケっとこっち見てやがる!!!! さっさとこのメスを止めやがれ!!」