第7章 山ほどの手が
7日後早朝。私は不安な気持ちでその場にいた。見覚えのある赤が見えるまで…私は気が気でなかった。
「………幸子!!」
「お兄ちゃん!!!!!!」
ぱぁっと眩しい笑顔が向けられた時、私はたまらず兄に抱きついた。
「ごめんなぁ。お前の位置は分かっていたんだが…鬼が次から次に現れて……」
ズビズビと兄とにすがりつく姿は傍から見れば滑稽だっただろう。ぽんぽんっと頭に心地よい重みがのしかかり、顔を上げると兄が笑いながら私の涙を拭ってくれる。
「ちゃんとあの人を守ってくれたんだな。ありがとう幸子」
「…お兄ちゃんも錆兎や真菰の仇…取ったんだね」
兄は微笑み、私の背を軽く撫でた。前を見ると、最終選別の時にもいた2人の子が口を開いていた。最終選別の合格者はこれで全員のようだ。
「お帰りなさいませ。おめでとうございます。ご無事で何よりです」
「………20人ほどいたのに…たった6人…」
兄が拳を握りしめる。つい先程、埋葬した何人ものの亡骸のことが脳裏を掠め、私は兄から目を逸らした。たくさんの子供が死んだ最終選別だった。