第7章 山ほどの手が
「水の呼吸…弐ノ型 水車!!!!」
3日経った。私は未だ兄にも、あの鬼にも会えずじまいだった。もう何人の鬼を倒しただろうか。
「さっすが幸子ちゃん!!!! 可愛いのに強い!!!!」
「今の見たか!? 鬼の首をはねたところ、速すぎて見えなかったぞ!!!!!!」
そして、そんな私に何故か同行者が2人も増えた。腕を怪我した人…名前を田山さんというそうだ…そして、もう1人…それは
「幸子ちゃぁぁぁんんん!!!!!!」
我妻さんだ。ふたりは何故か私から離れようとせず、3人1組のフォーメーションが出来上がったというわけだ。
「あ、てめぇ!! なに馴れ馴れしく竈門様に触ってんだよ!!!!!!!!」
取っ組み合いをする2人に私は隠れてため息をこぼす。どんなに探してもあの場所に兄はいなかった。
「………お兄ちゃん…どこに行ったの…」
兄と別れて3日。安否が分からずじまいの兄に恐怖でどうにかなってしまいそうだった。しかし……
「邪魔するな!!!! そもそもお前誰だよ!!!! 俺の幸子ちゃんに近づくんじゃねぇよ!!!!!!」
「嘘だろお前!! ちゃんと自己紹介しただろ!!!!!!!! 田山だよ!!!! つか、お前の方が馴れ馴れしすぎだろ!!!! 出会って早々ちゃん付けすんなよ!!!!」
「様付けする奴よりましだわ!!!!!!」
この賑やかさが、今の私には少しばかり救いでもあった。