• テキストサイズ

鬼滅隊の兄と、鬼の姉

第7章 山ほどの手が


「大丈夫ですか!!!! 誰か怪我した方は……」

雷が落ちた場所はすぐに分かった。周りがプスプスと音を立て黒焦げになっていたし、さらにそこだけ木々は無くなり空間が出来ていたから。

「………うっ…」

そこで倒れていたのは、黄色の髪がよく映える少年だった。兄と同じくらいの少年は気を失っているようで、その場にいたのはその少年だけ。私は綺麗な布に水をつけ、その少年の頬に軽く当てた。

「……………ヒィ!?!?!?!?」

少年は軽く気絶してただけのようで、すぐに飛び起きた。少年はガタガタと震え出し、近くの幹にしがみつく。

「なになになになに!! あいつらどこに行ったの!? ヒィッ!? なんでこここんなに黒焦げなのぉぉ!? もう無理!!!!!! 俺死ぬ!!!! 死ぬぅぅぅ!!!!!!!!!!!!」

そこまで騒ぐ元気があるなら大丈夫だろうと、少年に近づいた。すると、少年は白目を向きながら錯乱状態のまま体を捻らせる。

「イヤァァァァァァ!!!!!!!!!!!!」

あまりにも気の毒になるような錯乱っぷりだったため、私は彼の背中をそっと撫でた。

「大丈夫ですよ。貴方の言う鬼はこの辺りには見当たりません。怪我はしていませんか?」

すると、ピタっと声は止み、初めて私の存在に気づいたようにこちらをじっと見る少年。

「…………え…ええ………女の子ぉ!?!?!?」

すると、今度は頬を染めて私の手を掴んで来る少年。情緒が忙しい人…それがこの少年…我妻善逸に対する私の第一印象だった。
/ 172ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp