第7章 山ほどの手が
「大丈夫ですか!!!! 誰か怪我した方は……」
雷が落ちた場所はすぐに分かった。周りがプスプスと音を立て黒焦げになっていたし、さらにそこだけ木々は無くなり空間が出来ていたから。
「………うっ…」
そこで倒れていたのは、黄色の髪がよく映える少年だった。兄と同じくらいの少年は気を失っているようで、その場にいたのはその少年だけ。私は綺麗な布に水をつけ、その少年の頬に軽く当てた。
「……………ヒィ!?!?!?!?」
少年は軽く気絶してただけのようで、すぐに飛び起きた。少年はガタガタと震え出し、近くの幹にしがみつく。
「なになになになに!! あいつらどこに行ったの!? ヒィッ!? なんでこここんなに黒焦げなのぉぉ!? もう無理!!!!!! 俺死ぬ!!!! 死ぬぅぅぅ!!!!!!!!!!!!」
そこまで騒ぐ元気があるなら大丈夫だろうと、少年に近づいた。すると、少年は白目を向きながら錯乱状態のまま体を捻らせる。
「イヤァァァァァァ!!!!!!!!!!!!」
あまりにも気の毒になるような錯乱っぷりだったため、私は彼の背中をそっと撫でた。
「大丈夫ですよ。貴方の言う鬼はこの辺りには見当たりません。怪我はしていませんか?」
すると、ピタっと声は止み、初めて私の存在に気づいたようにこちらをじっと見る少年。
「…………え…ええ………女の子ぉ!?!?!?」
すると、今度は頬を染めて私の手を掴んで来る少年。情緒が忙しい人…それがこの少年…我妻善逸に対する私の第一印象だった。