第7章 山ほどの手が
狂い咲いた藤の花の道を登っていくと、広い場所に出た。そこも藤の花が周りを取り囲んでおり、幻想的な空間で私は思わず感嘆の声を漏らした。
「こんなにいるのか…」
兄の呟きに辺りを見渡すと、確かに刀を持つ子供たちが何人も立っていた。私たちが最後のようで後ろを見ても誰も登っては来なかった。
「皆さま。今宵は最終選別にお集まりくださってありがとうございます」
そして、広場の中央にいる綺麗な着物に身を包んだ子達が口を開く。この子達が最終選別を仕切るのか…花子まではいかないけれど…まだ幼い子達なのに。
「この中で7日間生き抜く。それが最終選別の合格条件でございます。では行ってらっしゃいませ」
その言葉が最終選別の開始だとばかりに、皆の目がぎらりと光る。その目を見て、途端に私に不安が襲いかかる。
「……大丈夫だ幸子」
そんな私の心内なんてお見通しなのか、すぐさま兄が私に笑いかける。ギュッと繋いでいた手に力が伝わる。こんな時、この人は長男なのだとつくづく思う。そして、それに安心している自分がいるのも事実。私は彼に微笑んだ。
「ありがとう。でも、もう大丈夫だよ。お兄ちゃん。私も鬼殺隊に入るんだから」
私は彼の手から自分の手を離した。すると、ひんやりとした空気が私の手を通り抜け、途端に不安がまた私を襲いそうになる。しかし、私はその不安を隠すかのように大きく息を吸って、兄よりも1歩先に足を踏み出した。
「行こう!!!! 最終選別!!!!!!」
「…あぁ!!!! そうだな!!!!」
互いに顔を見合わせて頷き、私達は藤の花の守護から出る。さぁ、7日間を無事生き残るぞ!!!!