第5章 炭治郎日記 前編
「……貴方が…錆兎…?」
私の問いに少年は笑った。さもおかしいというように。
「だったらどうした?」
威圧感が私を襲う。普通に話してはいるが…この少年…兄と同じくらいなのに…場数の違いすぎる。私は唾を飲み込んだ。
「………お兄ちゃんを気絶させたって…本当?」
「ああ。あの未熟者か。あんなの男ではない」
あぁ…真菰の言った通りだ。私は両拳を握りしめた。錆兎は言葉を続ける。
「あの未熟者はお前を守ってはくれんぞ。その前にあいつ自身が死ぬからな。お前もあんな兄貴を持って不運なことこの上ない」
「うるさい!!!!!!」
私は真剣を抜いた。少年はそれを見て口を閉じる。
「不運なもんか!!!!!! 竈家の次女になれたことが私の人生の中で最も幸運だった!!!!」
1回軽く振り、私は力いっぱい地面を蹴りあげた。目の前の錆兎が揺れる。
「…なら、お前自身強くなるんだな」
私が錆兎に剣を振り下げる瞬間、錆兎の声が真上から聞こえたかと思うと私は思いっきり地面に叩きつけられた。