第5章 炭治郎日記 前編
その少女の名前は真菰と言った。真菰と私はすぐに友達になった。
「そう!! そうなの!!!! お兄ちゃん、すぐ長男だから自分が頑張んなきゃっていうの!! 私の気持ちなんて無視して!!!!」
「分かるよ。男の子って女の子を守らなきゃならない存在だって思ってるよね。錆兎もそうなの」
錆兎?聞きなれない言葉に私は首を傾げる。
「今、炭治郎のところに行ってるの。私たちの他にも11人の子供たちが幸子たちを見てるよ」
ふわふわするような真菰の言葉に私は首を傾げた。
「あ、そろそろ行かなきゃ」
不意に真菰が立ち上がる。もう行ってしまうのか…私は残念な気持ちになった。その私を見て察したのか、私にふふっと笑いかける真菰。
「錆兎が炭治郎を気絶させたから、今度は役割交代なんだぁ。炭治郎が錆兎に気絶させられないようになったら、会える時間が増えるよ」
可愛らしい声からは想像出来ないほど、物騒な内容。兄は大丈夫なのだろうか??
「まこ……っ!? え?」
しかし、私が再び顔を上げる頃には真菰の姿は消え、そして真菰の代わりに立っていたのは狐の面を被った少年だった。