第5章 炭治郎日記 前編
~炭治郎 side~
俺が鱗滝さんに修行をつけてもらってから半年という月日が経った。…禰豆子が目覚めなくなって同じほどの時が経つ。鱗滝さんがすぐ医者を呼んで診せてくれたけど、異常はなくて…。でも眠り続けるのは明らかにおかしい。
「…お姉ちゃん……」
幸子が震える声で禰豆子の手を握る。俺も幸子も同じ思いを抱えていた。
…怖かった。朝起きたらコトンと死んでしまっているんじゃないかって。
その晩、俺と幸子は久しぶりに3人で一緒の布団に入った。
「大丈夫。大丈夫だ幸子。兄ちゃんに任せろ。絶対に大丈夫だからな。兄ちゃんは長男だから………」
そう言って俺はしまったと顔を顰めた。案の定、幸子は険しい顔をして布団を被って、そこから何を話しかけても反応を返してくれない。幸子とはあれ以来、話さなくなった。だが、幸子から怒っているような匂いはしないから、何か他に理由があるのだろう。俺は落ち込みながら目を閉じる。明日は禰豆子が目を覚ましてくれますように…。そして、明日こそ幸子が俺と話してくれますように…
だが、その状況は1年経っても変わることがなかった。