第5章 炭治郎日記 前編
「フンッ!!!!!!」
昨日の言い合いが思い出され、私はそっぽを向いた。
「幸子!?」
ショックを受けたような顔をする兄に構わず、私はスタスタと先を歩く。
「炭治郎。お前はこっちだと言っただろう」
鱗滝さんにズルズルと引きづられていく兄。
「幸子!! 修行後兄ちゃんときちんと話そう!! 幸子!!!!!」
「……私は話すことなんてない!!!!」
「あ…ま、待て幸子!!!!!!」
ズルズルという音と共に、兄の声も遠ざかっていく。もういいだろうと私は後ろを振り返る。それがいけなかった。ちょうど木の影の隙間から兄の姿が見えたからだ。普通の人なら見えないだろうが、私は見える。兄はまだ鱗滝さんに引きずられており、凄いスピードだ。
「…………もー…このくらいで涙ぐまないでよ…」
揺らいじゃうじゃん!!