第5章 炭治郎日記 前編
鬼殺隊。その数およそ数百名。政府から正式に認められていない組織。だが、古より存在していて今日も鬼を狩る。
鬼殺隊は生身の体で鬼に立ち向かう。人であるから傷の治りも遅く失った手足が元に戻ることもない。それでも鬼に立ち向かう人を守るために…………
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「今日から幸子はここで修行をつける。炭治郎はこの反対側だ」
そこは滝が流れている綺麗な場所だった。澄んだ空気をゆっくり肺に入れ私は頷く。私は比較的、鱗滝さんの家から近いところで修行をつけて貰えるようだ。兄が私の方を見る。
「あ…幸子…」
昨日、私と兄は…初めてと言っていいほどの言い合いをした。兄は基本的に私たち兄妹を優先してくれる。しかし、兄は生粋の頑固人間だ。こうと決めたら中々譲ろうとはしない。
「駄目だ!! 鬼殺隊は鬼と戦うんだぞ!! 幸子までそんな危険なことを必要なんてないんだ!!兄ちゃんが全部なんとかする!! だから、幸子はここで禰豆子を守ってやってくれ」
何を言っても頑として受け入れない兄。私も負けじと言い返す。
「私だって何もせずにただ待ってるだけなんてできない!! お姉ちゃんを人間に戻そうって言ったでしょ!!!!!!」
「お前まで血の道を行く必要はないんだ。俺は長男だ。禰豆子だけじゃなく、お前のことも守る……」
「…………………もう!!!! お兄ちゃん、長男長男うるさい!! それしか言えないの!」
そのときの兄の顔は今まで見た事のないような形相をしていた。