第4章 必ず戻る夜明け前には
私の罪。それは私の愚かな勘違いのせいで起こした罪だ。目を閉じればあのおびただしい数の赤が目の奥でちらつく。
私が鬼舞辻無惨から逃げたあの日。後ろも振り返らず走ったあの時、私は一瞬だけ足を止め、後ろを振り返る。辺りはシンッと静まり返り、私を追ってくる影もない。
「……逃げ…られた…?」
そして、私は再び走り出す。そんなわけないのに。どんなにあいつが用済みだと言っても、私は…あいつの……
「娘なんだよ。お前がどれだけ否定しようとな」
男が…口を真っ赤にして私を見る。その瞳には同じく赤い光がちらつき、私は息を呑む。
「…あのお方もお前を褒めておいでだった。俺も満足だ。柱と戦いを交えて俺はさらに強くなった」
彼の後ろに倒れているのは…見覚えのある背中。私は思わず口を抑えた。あそこにも…あそこにも……見覚えのあるたくさんの人が……
「…ここも時期に火がまわる。さっさと行け…」
男の手が近づく。そこからの私の記憶はあまりない。