• テキストサイズ

鬼滅隊の兄と、鬼の姉

第3章 見知らぬ誰か


鱗滝さんはおそらく元柱で、育手だ。足音もなく、私たちの前を進む鱗滝さんの後ろ姿を見ながら私はそう思った。

「だ…大丈夫か…幸子…」

私より息が荒い兄がそう私に尋ねる。鱗滝さんから姉の籠を持つように言われた手前、私はそれを変わるとは兄に言えないでいた。しかし、兄は何度も何度も私にそう話しかけるのだ。私は頷く。

「……お前にも……禰豆子にも……辛抱をかけるなぁ…」

私はそう呟く兄に首を振る。この兄は昔から長男だからといって抱え込みすぎる所がある。

「……絶対にお姉ちゃんを元に戻そうね」

「…ああ…!!」

額に汗を滲ませる兄が私に微笑む。山の中へと入り、心做しか鱗滝さんの動きも遅くなってきたように思える。もうすぐ着きそうだ。
/ 172ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp