第2章 残酷
「生殺与奪の権を他人に握らせるな!!」
青年は叫んだ。私も兄もその迫力に体を震わせる。
「惨めったらしくうずくまるのはやめろ! そんなことが通用するならお前らの家族は殺されてない」
青年はそう言うと、私たちを睨んだ。私は青年のそのような行動に呆然となった。…何故なんだろう…何故私たちを焚きつけるようなことをするのか…。兄も呆然と青年を見つめる。
「お前たちごと妹を串刺しにしてもよかったのだぞ!!」
そして、青年は暴れる姉の肩に剣を刺す。それが私たちの怒りの線に触れた。
「やめろ(て)!!」
兄は近くにあった石を、私は雪を投げ走り出そうとした。
「幸子!! お前はそこにいろ!!」
しかし、そこで事件が起こる。兄が不意に私の手を引いたため、私は雪で足を滑らせてしまったのだ。足を滑らせた私はそのまま後ろに倒れ込み……
「いっ!?」
兄の石頭に直撃してしまったのだった。